フィルムカメラで撮る写真|impermeable photographie

写真新世紀25周年記念イベントのポートフォリオレビューに行ってきました

2015/12/14
 

snow tokyo

写真新世紀25周年記念イベント開催「写真の未来は僕らがつくる!」のサイト内にあるポートフォリオレビューに行ってきました。人生初めてのポートフォリオレビュー。ポートフォリオレビューってどんなところ?ブックを持参したらいいんだよね?ぐらい曖昧な感じでしたが、参加してみたらとても面白く勉強になり、自分の写真の見せ方やテーマ・コンセプトの甘さなどを突き詰めて考えることができ、写真に帯する新しい視点やより深く考えることができるようになりそうな一歩が踏み出せそうで、今後も機会があればポートフォリオレビューに参加してみたいと思いましたので、自分メモも兼ねてまとめたいと思います。

写真新世紀25周年記念イベントのポートフォリオレビュー概要

お持ちこみいただいた作品をお一人10分程度、審査員、学芸員の方々が講評いたします。
対面式のポートフォリオレビューになります。

1. プログラムA
日時 2015年12月11日(金)15:00~17:00
会場 代官山ヒルサイドテラス アネックスA棟
定員 30名 満員御礼
参加費 無料
レビュアー フリッツ・ヒールスベルフ(オランダ写真美術館チーフキュレーター)、荒木夏実(森美術館学芸員)
石田哲朗(東京都写真美術館学芸員)、三井圭司(東京都写真美術館学芸員)

2. プログラムB
日時 2015年12月13日(日)13:00~15:00
会場 代官山ヒルサイドテラス アネックスA棟
定員 30名 満員御礼
参加費 無料
レビュアー 清水穣(写真評論家)、大森克己(写真家)、澤田知子(アーティスト)、野口里佳(写真家)

写真新世紀25周年記念イベント開催「写真の未来は僕らがつくる!」からの引用になります。
なんと無料です!無料!この豪華メンツで無料ってキヤノンさんっ…!ポートフォリオレビューは有料のことが多いので、思い切って申し込んでみたのでした。
プログラムAのニャイズでお馴染みの写真美術館学芸員の方にもレビューしてもらいたかったのですが、仕事の心配があり日曜日開催のプログラムBを申し込みしました。

ポートフォリオレビューについて

bright

先日開催した個展「あかねさす」で額装していたプリントを外したもの(4つ切り)11枚+過去に自分で手焼きしたもの+66で撮った追加写真を24枚入るブックに入れました。それとphotobackで作ったあかねさすも話の流れで必要になるかと思ったので一緒に見ていただきました。

が、一晩たって改めて考えてみると、展示あかねさすはあの空間であの見せ方だから成立していたところがあり、追加した写真では展示のような感じにはなり得なかった。あの「あかねさす」をブックで見てもらうならば、それをきちんと伝えるブックを作る必要がある。家にあるファイルにプリントを入れて見てもらうというのは、自分の準備が全く足りてなかったのだったとわかった。紙の大きさやファイリングの仕方を含めてもっと考える必要がある。
せっかくのポートフォリオレビューという機会だったのに認識が甘かったというのは間違いなくて反省。

展示のキャプションで書いたようなことを自分の口から言葉で発することが照れくさかったりもしつつ、その内容と自分の持参したポートフォリオが乖離しているわけでもないけど、作品としてもっと強くしていきたい(自分を知らない人が見ても同じように感じてもらえるのか?今はそうじゃないのでは?)話や迷いがあることなどを話しました。

その中で野口里佳さんからいただいた言葉はとても内省的なもので、澤田知子さんからいただいた言葉はすごく客観的で鋭いものでした。どちらも私が頭の中でぼんやりと思っていたことでした。
お二人からのアドバイスを乱暴にまとめると、自分で納得できないのなら別の手段も模索しつつ、今の方向性も突き詰める(見せ方とセレクトを掘り下げる)ということで、文章にすると至極当然なことなのですね。でもこの単純明快な文章を書くために、私はものすごい考えたわけで、その思考というのがとても大事。

野口さんが別の方に「自分の撮りたいものは既に写真に写っていることがあるから、自分の写真をよく観察するといい。写真の方が先をいっていることがある。」とおっしゃっていて、とても印象的な言葉でした。
自分で答えを見つけることが大事と何度もおっしゃっていました。

澤田知子さんは私の写真をみて「川内倫子さんをとても好きでしょう」と。そして「好きで真似をすることは全く問題ないけど、そこから越えて自分のオリジナリティを探すのは大変。好きだと意識しなくても真似してしまうわけで、同じような写真が撮れて満足するならいいけど、66にこだわるのをやめてみると新しい世界が広がるのでは?」と。「”美しい世界の輝きを美しく撮る”ということに関しては成功していて、写真が綺麗すぎる。だからこそ自分で写真に満足できないのでは?」という言葉。
ああ、そうか、文章を書きながらわかったけど、私自身の口から出ていた言葉が「美しさ」だけだったのだ。自分の写真が美しければいいだなんて思っていない。時が流れていく切なさ、戻れない哀しさ、苦しさ、懐かしさのようなものを写真にこめて個展のとき作品をまとめたはずなのに、ポートフォリオレビューのとき私の口からは「美しさ」のことしか話すことができなかった。その美しさ以外の部分は今まで鑑賞してくれる方がご自身で感じ取ってくれていたから、私は鑑賞者に甘えていたんだと改めて自覚しました。表現するということは自分で伝えることなわけで、私にはそれがなく甘えがあるということをポートフォリオレビューで見てくれたお二人はおそらくわかっていたのでしょう。
もちろん全部全部説明する必要なんてないし、鑑賞者にどう見てもらいたいか?を考えると面白くなくなるというのはわかるのだけど、伝えたいことは自分自身できちんと述べる必要があったり、説得力のある写真でわかってもらわないといけないということで、そのためには自分が深く考えて自分のものにしなければ伝わらないということです。(鑑賞者に考える余地無くみてもらうことが是はないというニュアンスが伝わるだろうか。)

なぜ写真を撮るのか?人に見せたいのか?という根源的なことをもっと深く考えて昇華し、軸にしていきたい。自分の言葉にすることの大事さ。別にここが終わりではなくて、いつだってスタート。がんばるぞ。

写真新世紀の展示について

写真新世紀の展示もすごくよかったので、終了前にぜひ行ってみてください。佳作から素晴らしい作品揃いで、ブックの構成がよいものが多く、一枚一枚の写真の上下左右前後を感じる写真が沢山ありましたし、優秀賞の作品は度肝を抜かれました。気合いを入れて見に行かないとあてられます。脳がクタクタになりました。

参考リンク:写真新世紀25周年記念イベント開催「写真の未来は僕らがつくる!」

ああ、そんな私、この帰り道に新宿グッチで開催されていた川内倫子さんの展示に行って、相変わらずの素敵さにクラクラしてしまいました。神様の視点!

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